ある日曜の夜 23時のベル

 

 

 

 

Trrrr

 

 

 

 

家族は寝静まっている

 

 

 

 

 

Trrrr

 

 

 

普段電話を使わないぼくの携帯

 

 

こんな時間にかかってくるのは、親戚の急報だろう

 

 

 

 

 

 

あわてて 出た

 

 

 

「いとうです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スマホの向こうから聞こえてきた。

謎の人物

「浪人生が通える塾ってあるんですかねぇ」

 

 

 

 

 

 

どうやら 転送電話だ

 

 

留守電にしなかった自分が悪い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日曜の23時

 

春先でもない。

 

 

 

 

 

名乗りもせず

前置きもなく

質問にも にじみ出てる

 

 

 

 

 

 

思わず 「え?」

 

と聞き返してしまった。

 

 

 

もう一度同じことが電話口の向こうから。

 

謎の人物

「浪人生が通える塾 あるんですかねぇ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

イトウ

「たくさんあるんじゃないんですか。予備校とか」

  

 

 

 

 

 

謎の人物

「ここは現役だけな感じですか?」

 

 

 

 

 

 

そういう問題じゃ 全然なかったけど

反射的に応えた。

 

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間 プッ ツーツーツー っと通話が切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

謎の人物の関係者が 断られた塾のブログを見ることはおそらくないだろうし 参考にしてほしいから 書いておく。

 

 

 

想像する力を育むのは、保護者の関わり方だとおもう。

 

 

 

 

 

すずのきの子たちには なるべく自分で電話をかけるように、入会の際 本人にも保護者の方にも伝えてる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電話は かけられるようになっておいたほうがいい。